2006年1月のご挨拶

2006年の年賀状画像
新年、明けましておめでとうございます。(明けて早くも一ヶ月近く過ぎてしまいましたが。。)本年もどうぞ、宜しくお願い致します。

年 末年始、私は博多へ行ってまいりました。温泉あり、美味しい食べ物ありと博多を満喫してまいりましたが、本当の目的、指揮の勉強も大変充実したものでし た。今日本全国のオーケストラでご活躍中の下野竜也さんに、実際にオーケストラを前にしてご指導していただける貴重な機会でしたので、年末年始のあわただ しい中ではありましたが、非常に参加してよかったと思いました。

課題曲は2曲でしたが、楽譜の分析(形式、和声など)、作曲家の個性、当時 の楽器の特性と現代の楽器の特性について(響きやバランスなど)、棒のテクニック。それぞれひとつひとつのことが奥が深く、とても充実したセミナーでし た。九州各地から集まってくださったオケのメンバーの方々がとても温かく、音楽に積極的でそのままコンサートをしてしまいたいくらいの雰囲気がありまし た。

また先日は、ベルギーを中心にヨーロッパでご活躍中の大野和士さんの公開講座を聴いてまいりました。興味深かったのは二人の歌手の方を 相手に、実際にアリアを仕上げていく過程の大野さんの指摘でした。以前、合唱の下振りをさせていただいたプッチーニの「ラ・ボエーム」が取り上げられ、歌 詞に隠された意味、調性・転調が暗示する内容、イタリア語の語感に関する指摘など、非常に細かいことのようで、実はそれが音楽の「命」ともいうべき根幹 で、プッチーニの意図を最大限汲み取るということの奥深さをまざまざと感じました。
音楽を感じるということはとても大切なことだと思いま す。同じメロディを弾くのでも、そのメロディ自体が持つ魅力を感じて弾くのと、ただ弾くのでは雲泥の差があります。しかし、もう一歩進むと、感じるだけで なく、理解することが大切です。音楽の構成がどうなっているか?どうしてこう書かれているのか?どうすればもっとも効果的に演奏できるのか?それは感じる だけでは限界があり、より深い音楽の知識、他の芸術、言語、歴史など多分野にわたる教養が必要になってくる実に興味深く、そして無限の可能性ゆえに手強い 世界が広がっているのです。

今年は今までに増して、この手強い世界にチャレンジをしていこうと思っています。キーワードは今年の干支のよう に、「音楽の骨の髄まで味わう」です。今感じている、今見えている部分が全てではない。もっと奥があるということをいつも忘れず、今年も音楽に取り組んで まいりたいと思います。