4月は、ざまのコンサートも大成功に終わり、過ぎてみるといい思い出が残るように思いますが、真剣
に思い出すと、実は、日常の些細なことが全部裏目に出て、毎日毎日、「何でこんなについてないんだろう?」、「お払いが必要!?」と思う一ヶ月でありまし
た。乗る電車が止まったり、忘れ物をしたり、外食しても美味しくなかったり。でも、それは、今月のためにあったのかなと思えるような一ヶ月でした。
一
つはシメオン・ピロンコフ先生との出会いです。日独楽友協会というセミナーに初参加し、先生の指導を受けたのですが、棒の振り方に終始することなく、音楽
をどう歌わせるべきか、それは何故か?歴史的な背景や流れを丁寧に説明して下さいました。個人の好みとか趣味を超越した概念をちゃんと説得力を持ってお話
になり、とても勉強になりました。温かいお人柄もとても印象的でした。
二つ目は下野さんと金聖響さんのベートーヴェンのエグモント序曲につ
いてレッスンを受けることができたことです。(ご両名とも「先生」と呼ばれることがお嫌いです。)この曲は3月のMFLの本番でも取り上げた曲であり、自
分でも練り上げた、イメージの出来上がっていた曲であったのですが、そこにあった自分の慢心、油断、底の浅さそして一つの表現に凝り固まっている姿勢をま
ざまざと指摘してくださいました。楽譜・和声進行に忠実であることの難しさを教えてくださった下野さん、表現の多様性、小節線にとらわれない音楽の捉え方
を教えてくださった聖響さん。言葉で表現するとお二人は対照的なようですが、根本は同じであると私は思っています。自分の甘さを痛感する厳しいご指摘もあ
り、自分にとってとても貴重な時間であったと思います。
最後に、仙台フィル、東京フィルの指揮台に、生まれて初めてプロのオーケストラの指揮台に上ったことです。仙台フィルは副指揮のオーディションでした。残念ながら不合格でしたが、「エグモント」序曲を最後まで演奏することができました。
東京フィルは、文京区の中学生のための音楽教室のゲスト指揮者としてです。(中学時代の音楽の先生、O先生のご尽力、そして温かく迎えてくださった当日のメ
イン指揮者の鈴木織衛先生に改めて心より感謝を申し上げます。)。こちらは「フィガロの結婚」序曲です。憧れの指揮台、どちらも大変緊張しましたが、今の
自分の表現力をめいいっぱい使うことができたと思っています。聴いてくださった中学生の皆さんの心になにかメッセージが届いていれば、とても幸せです。
ど
ちらのオケでもメンバーの皆さんの反応はとても早く、自分が「抑えたい」「出したい」と思って少し表情に出すだけで音が変わる、その集中力と反応の細やか
さに驚きました。一生懸命演奏してくださった皆様に、心よりお礼を申し上げます。ひとまわりもふたまわりも成長して再びあの指揮台に帰ろうという気持ちを
強く持ちました。
辛いことがあっても、苦しいことがあっても、なにかいいことが次に起きる、あきらめてはもったいない!私はそう信じています。