2006年11月のご挨拶

こんにちは。あわただしくウィーンでの日々が過ぎていきます。先日はウィーンで初雪が降りました。こちらは例年にないほどの暖かさということですが、それでも日によっては最低気温がマイナスになります。これから一体どんな冬を体験するのか今から不安です。

ウィー ンはいわゆる「大陸性気候」で快晴の日が多く降水量が少ないのが特徴です。(海洋性気候の日本とは正反対です)雨が少ないのは車椅子にとって、非常にあり がたいことです。でも、一日の天気は非常に変わりやすい。気持ちよく晴れていたかと思うと、あっという間に雲が出てきて、みるみるうちに暗くなったかと思 うと、吹雪になったり、そうかとおもうと、雪が降ってるのに晴れ間が覗いて、しばらくすると青空が広がる。まるでソナタ形式のよう。表情豊かな音楽はこの 天候がもたらしたのかもしれない。(天気予報は大変。見るホームページごとに予想が違うんです)

日本でも11月はコンサートラッシュですが (ウィーンフィルは今は日本ですね)こちらも負けないくらい素晴らしいコンサートの目白押しです。ギーレン氏指揮のシェーンベルク「グレの歌」、アムステ ルダムコンセルトヘボウ/ハイティング氏指揮のマーラー交響曲第4番、リヒャルト・シュトラウスの歌曲。まさに『陶酔』という言葉しか思い浮かばないほど 繊細で今にも壊れそうな甘く美しい音楽。CDでは知りえなかった後期ロマン派のウィーンの音楽の魅力を身をもって体験しています。

コンサー トやリハーサルでマエストロに会えることも私にとっては魅力です。もちろん日本でもお会いすることはできますが、なかなか厳しい。出待ちであったり、特攻 隊気分で舞台裏に行ったり、覚悟が必要です。ムジークフェラインではそんなことはない。(こわもての警備員の方はいるが実はとても優しい)先日は初めてベ ルナルド・ハイティング氏に会うことができました。実に繊細で一部の隙もない音楽を作り上げた彼は一体どんな人物なのか接してみたかったのですが、会って さらに感動しました。思ったより小柄な方で強いオーラを放っていらっしゃるわけでは決してないのですが、静かで本当に温かく、すべてを包み込んでしまうよ うな大きさを持った方のように感じました。自分が指揮の勉強をしている旨を伝えると、「ぜひずっと続けてください」とおっしゃって下さいました。

先月お会いしたアーノンクール氏、今月お会いしたテイト氏、そしてウィーンフィルのメンバーの方々。今まさに活躍されている音楽家の皆さんに会って、そして その人間性に少しでも触れ、そして言葉を交わすことは、自らの目標、生きる世界を身体で確認できるかけがいのないチャンスだと思います。実際にその人に会 うとCDや雑誌で想像していたものとは違う一面を必ず見せて下さいます。私の想像などはるかに超えて深み、多様さを感じさせてくださるのです。(こわもて のアーノンクールがあんなに優しく、謙虚な方だとは!)自分自身「人間」を磨くことも非常にに大切だと痛感しています。

さて、今日はベルリンフィルのコンサートだ!