宮野谷義傑の音楽聴こう!

以前担当させていただいていたインターネットラジオCare Fit WEB STATION Kizzna~紲~の情報です。
普段からクラシックを聴いている方にも、音楽の授業以来全然聴いていないという方にも、気軽にリラックスして聴いてもらえる番組にしたいと思っています。音 楽に限らず、雑談を交えて音楽をご紹介していこうと思います。30分という短い時間で、どうしても一曲お聞きいただくわけに行かないのが残念ですが、興味 を持っていただいたら、ぜひCDやコンサートで聴いてみてください。そんなきっかけになれば幸いです。お仕事の息抜きに、コーヒー片手に気楽にお聞きください。

2007年12月13日(木)に配信開始、隔週木曜日に新しい番組が配信されていました。

放送記録

第24回 2008年10月30日放送開始

今回は、シベリウスの生い立ちや音楽人生の歩みを、フィンランドの歴史的背景等をまじえ詳しくお送りします。
充実した福祉・教育システム等で、近年注目度の高いフィンランドに触れることができるチャンスですよ

第23回 2008年10月16日放送開始

今回は「オーケストラコンサート第2弾」。リーズナブルなチケットで地域に根ざした音楽活動を行っている我らが日本の優秀なプロ・オーケストラを、北から南まで、詳しく紹介します。

第22回 2008年10月2日放送開始

今回は、今秋来日する有名交響楽団情報を中心に世界の交響楽団や障がい者のためのチケット購入にまつわる情報を紹介します。

第21回 2008年9月18日放送開始

今回は今年没後100年の名ヴァイオリニスト、サラサーテをご紹介。彼の人生において、また歴史的にも非常に貴重な音源と共にご紹介します。

第20回 2008年9月4日放送開始

数回に分けて、宮野谷義傑が大切にしているスメタナの名曲、連作交響詩「我が祖国」の魅力に迫っています。
今回は、作曲家スメタナ「わが祖国」の3曲目「シャルカ」をご紹介。この曲はボヘミアのシャルカ谷に伝わる女戦士シャルカの物語を描いたもの。耳が全く聞こえない作曲家スメタナがいきいきと描いた交響詩を、宮野谷氏の情景の解説と共にお楽しみください。

第19回 2008年8月21日放送開始

数回に分けて、宮野谷義傑が大切にしているスメタナの名曲、連作交響詩「我が祖国」の魅力に迫っています。
今 回は「我が祖国」から2曲目、有名な「モルダウ」を紹介。この「モルダウ」という曲はおそらく多くの人になじみのある曲だと思います。一方これを作曲した スメタナがどのような人だったかは意外と知られていません。今回はそのスメタナの苦難に満ちた人生と共に美しいこの曲を紹介します。

第18回 2008年8月7日放送開始

今回から数回に分けて、宮野谷義傑が大切にしているスメタナの名曲、連作交響詩「我が祖国」の魅力に迫ります。
今回はチェコ人の魂の源と言われる街の栄華盛衰を描いた「ヴィシェフラト」を紹介。

第17回 2008年7月24日放送開始

今週はパリからの質問にお答えする形で様々なクラシック曲をご紹介します。その質問とは・・・「クラシックの編曲について」。
あの有名曲が編曲の違いでこんなにも変わる「編曲」の魅力を楽しんでください。

第16回 2008年7月10日放送開始

前回に引き続き、バイオリン奏者の池澤卓郎さんをゲストに迎えお送りします。
ホテルの屋根裏部屋で生活を始めた、パリの思い出と共に、パリの音楽についてもお伺いします。楽器を取り上げられ、電車に乗り遅れ、そして・・・忘れられないフランス1日目の出来事とは?
バイオリンはもちろんですが、池澤さんの人間的な魅力、感じることができます

第15回 2008年6月26日放送開始

今回は、番組初のゲスト!バイオリン奏者の池澤卓郎さんをお迎えしてお送りします。
実際に音を聴かせてもらいながらバイオリンの魅力に迫ります。あなたもきっとバイオリンが好きになる!!

第14回 2008年6月12日放送開始

今回は、宮野谷さんが留学していた、ウィーンの食事情をご紹介。ウィーンの名物料理、デザート、そしてウインナコーヒー!!これを聞けばあなたもきっとウイーンに行きたくなる!?
ウィーン出身「20世紀最高のヴァイオリニスト」クライスラーの楽曲を聴きながらお楽しみ下さい。

僕たち私たちのLOVE&PEACEゲスト出演

バリアフリーロックバンド「サルサガムテープ」のリーダー かしわ哲さんがパーソナリティをつとめる「One Small World 僕たち私たちのLOVE&PEACE」にゲスト出演させていただきました。
か しわさんの温かい包容力が私に勇気をくださいました。テンポのよいトークにひきこまれリラックスして挑めたはずが、リコーダーを少しだけですが演奏したら 何度も間違え、すっかりヘロヘロ状態に逆戻り。。。でもとても楽しくお話しすることができました。ご興味のある方は是非お聴きください。
Care Fit WEB STATION Kizzna~紲~」 CH4 「One Small World 僕たち私たちのLOVE&PEACE」 第73回放送分です。
番組内容
宮野谷さんがくじけそうな時、支えになってくれたのは音楽だった・・・。大好きなベートーヴェンの「運命」をリコーダーだけで完全コピーした少年時代。カミナリにうたれた程衝撃を受け、人生を変えたある出来事とは?
指揮者が考えていること、指揮をする楽しさ、難しさについてもお伺いします。

第13回 2008年5月29日放送開始

前 回は、クラシック界を代表する天才の一人、ベルリオーズをフィーチャーしてお届けしましたが、今回は、その彼が作曲した奇跡の曲「幻想交響曲」を紹介。ダ イジェストで曲を流しながら、宮野谷さんが聴き所を紹介!!この曲に込められたメッセージ、そしてストーリーが見えてきます!!
他では聴くことの出来ない解説付きの「幻想交響曲」。お聴き逃しなく!!

第12回 2008年5月15日放送開始

今回は、まさにクラシック界のジミ・ヘンドリックス!!奇跡の天才作曲家、ベルリオーズをフィーチャー!
ピアノが弾けないにもかかわらず、100人にも及ぶオーケストラの為の曲を書いてしまう、その音楽的才能、革新的な作曲や演奏方法についてもご紹介します。
次回は、ベルリオーズの名声を確立した「幻想交響曲」のストーリー、そしてその元となった、情熱的な恋愛体験をお伝えします。お楽しみに。

第11回 2008年5月1日放送開始

今回はGW期間中行われる、クラシックの一大イベント"ラ・フォル・ジュルネ"をご紹介!!今回のテーマは「シューベルトとウィーン」ということで、シューベルトに焦点を当てお届けします。
シューベルトはクラシック界の小室哲哉?生涯で1000曲以上を作曲した彼の作風、そして、楽曲の解説もつけてお届けします。

第10回 2008年4月17日放送開始

今回は"オクテで慎重"な作曲家、ブラームスをピックアップします。こだわり過ぎて21年を費やした交響曲第1番とは?

作曲家、ブラームスの人柄とともに、楽曲の解説もつけてお届けします。

第9回 2008年4月3日放送開始

今 回はオーケストラの楽器特集、第一弾として「クラリネット」を紹介します。宮野谷さん自身、高校の時からなれ親しんできたという楽器、クラリネット。実際 に音を出しながら、その特徴や演奏方法をご紹介します。モーツアルトやベートーベンも愛したというクラリネットの魅力をたっぷりお届けします。

第8回 2008年3月20日放送開始

今 回は偉大なる作曲家、モーツアルトをピックアップ。天才と呼ばれるようになった数々のエピソード、そして意外にも順風満帆ではなかったその人生についても ご紹介します。モーツアルトの優しさを感じることの出来る、三通の手紙とは?モーツアルトの楽曲と共にお楽しみ下さい。

第7回 2008年3月6日放送開始

今回ピックアップしたのは"交響曲の父"と呼ばれる作曲家、ハイドン。
彼の人生と共に、ユーモア溢れる音楽の特徴、そして"交響曲の父"と呼ばれるようになった理由もご紹介します。

第6回 2008年2月21日放送開始

今回は"交響曲"を噛み砕いて紹介。4つの楽章、そしてその傾向について、モーツアルトの交響曲第40番を聞きながら、宮野谷さんが解説を入れています。
これを聴けばあなたも"交響曲"とは何か?きっと分かります!

第5回 2008年2月7日放送開始

今回のテーマは「作曲家の恋」。
ロマン派の巨匠、ロベルト・シューマンとその妻クララとの情熱的な恋物語をご紹介します。シューマンがメロディーにたくした秘密のメッセージとは?

第4回 2008年1月24日放送開始

今回は、宮野谷さんが留学していたウィーンの、買い物事情について。日本とオーストリアの違い、カルチャーショックとは?

第3回 2008年1月10日放送開始

今回は、指揮者の仕事を分かりやすくご紹介します。あまり知られていない、指揮者の奥深い世界とは?また同じ曲でも、指揮者によって演奏が変わる!!その違いが分かりやすいように、3度、指揮者を変えてお送りします。スペシャルな指揮者も登場!?

第2回 2007年12月27日放送開始

今回は宮野谷さんが、2007年夏まで留学していたウィーンの話を交えながら、ウインナワルツをお送りします。音楽三昧の日々を過ごしたウィーンの魅力をたっぷり紹介!澄み切った夜空、温かい街明かりを想像しながら演奏をお楽しみ下さい。
そんなウィーンといえば、毎年1月1日に世界最高峰のオーケストラの一つ、ウィーンフィルが、ニューイヤーコンサートを行います。日本でも生中継されるそうなので興味のある方は是非チェックしてみては?

第1回 2007年12月13日放送開始

記念すべき第一回はベートーヴェン「運命」について。

東京都多摩障害者スポーツセンター クリスマス会

日時2007年12月9日(日)14:00開演
会場東京都多摩障害者スポーツセンター体育館
演奏立川Red&Blueウィンドアンサンブル
指揮宮野谷 義傑
演奏曲目
  1. ウィンターワンダーランド
  2. 星条旗よ永遠なれ
  3. 世界に一つだけの花 他
チケット入場無料


久しぶりにブラスバンドの皆さんと音楽をする機会で、とても楽しむことが出来ました。オーケストラと違い、いい意味で「体育会系」で、音楽表現上の提案に「はい!」というきりっとしたお返事を頂き、短い時間ながらしまった練習をすることが出来ました。

演奏会本番も、ブラスバンドらしい明るいエネルギーに満ちた舞台で、聴いて下さった方々から大絶賛を頂きました。普段から駅前ライブなどお客さんと近い場所 で、お客さんと一緒に楽しむことを活動の一環とされているだけに、さすが!という感じです。楽器紹介のトークも皆さん慣れていて、びっくりでした。またぜ ひ共演させていただきたいと思います。

2007年12月のご挨拶

帰国の飛行機内の写真
こんにちは。随分更新が滞ってしまい、皆さんにご心配をおかけして申し訳ありません。この度、無事にウィーン留学から帰国いたしました。これからまた、日本で心機一転、再出発する気持ちで頑張ってまいる所存です。どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。

先日、ウィーンで大変お世話になったウィーンフィルチェロ奏者のヨルゲン・フォクさんと奥様の陽子さんが中心として世界で活動されているウィーン五重奏団の コンサートを聴きに行ってまいりました。まだヨーロッパから帰国して3ヶ月しか経っていないのですが、ウィーンの音を聴き、そしてお世話になったウィーン フィルの方々に久しぶりに会って、ウィーンフィルのコンサート・リハーサル・オペラ三昧という夢のような日々を思い出し、改めて素晴らしい体験をしたと実 感しました。

去年の10月から一年次間、ウィーン国立音大助教授のピロンコフ先生の特別のご推薦を頂き、指揮実技の授業を聴講しました。世 界中から集まった指揮者志望の学生のレッスンは大変面白いものでした。当初はドイツ語があまり分からず、曲分析の授業は正にチンプンカンプンでしたが、毎 日語学学校に通ったお蔭で少しずつ吸収できるようになりました。時には、ヤンソンス氏やブーレーズ氏が指揮レッスンやリハーサルをするなど、とても刺激的 な環境でした。

憧れの偉大な作曲家たちのゆかりの地を訪れることも貴重な体験となりました。ベートーヴェンやモーツァルトが過ごした空間や 景色を時代を超えて共有することは、その場所でないと出来ない体験です。演奏は時間を越えた作曲家とのコミュニケーションだと私は思っているので、音楽に 取り組む時は、作曲家の心情や環境にも注目するべきと考えています。同じ喜怒哀楽を持った人間として身近に感じると同時に、それぞれの人生を必死に生き抜 き音楽に打ち込んでいた姿に、これからも真摯に音楽に取り組む決意を新たにしました。
音楽の都、厳しい一面も多くありました。挫折や自信喪 失も経験しました。習慣や文化、言語の違いからアクシデントも多くありました。正直、車椅子であること、日本人であることによる差別も経験しました。 ウィーン以外、ローマやパリ等の街ではバリアフリーが行き届いていない現状に立ち往生することも多くありました。でもその中で音楽を聴き、音楽に取り組む ことが出来ることの幸せを身に沁みて感じることができました。

2008年はさらに感性、知識を磨くと同時に、経験してきたことや音楽の魅力 を、より多くの方と分かち合っていけるような活動をさらに進めていきたいと思っています。今月13日よりインターネットラジオで番組を担当させていただけ ることになりました。いろいろな挑戦をしていきたいと思います。今後とも応援宜しくお願いいたします。

ミプロキッズフェア2007 in 神戸

日時2007年9月8日(土)、9月9日(日) 15時~16時30分
会場神戸国際展示場3号館
演奏弦楽5重奏
指揮宮野谷 義傑
演奏曲目
  1. 美しき青きドナウ 弦楽合奏版
  2. 威風堂々(エルガー)弦楽合奏版
  3. 「運命」より抜粋
  4. ルパン&トトロ
  5. カノン
  6. 星に願いを
チケット入場無料

2007年6月のご挨拶

リヒャルト・シュトラウスの墓前にて
こんにちは。ウィーンは最近日中30度近くまで上がる暑い日が続いています。突き刺すような厳しい日差しですが、湿気が少ないので日陰に入ると心地 よい空気に包まれます。朝5時には明るくなり、21時が日の入り。本当に一日が長く感じられます。(夕ご飯食べ終わってもまだ明るいなんて。)寒く暗い冬 と、暑く明るい夏の急激な差が、ヨーロッパの伝統音楽に表情を与えたのかもしれません。

今回ウィーンに住んで、より親しみを感じるようになった作曲家の一人にリヒャルト・シュトラウスがあげられます。それまでは曲によってはどこか、故意に音が多すぎる、耽美的、華美すぎる印象がありしっく りこなかったのですが、1900 年前後のウィーン分離派のワーグナーの建築やクリムトの絵画、そしてフロイトをはぐくんだウィーンで聞いてみると、なるほどと感じられました。(これはシェーンベルクの初期の作品「グレの歌」を聴いたときにも強く感じました)幸い、オペラ座では彼のオペラの特集が組まれていたので、多くの演目を見ることが出来ました。

さらに、彼の生まれた町ミュンヘンと晩年を過ごした町ガルミッシュ=パルテンキルヒェンに行く機会もありました。ガルミッ シュは大都市ミュンヘンから鉄道でわずかに2時間ですが、アルプス山系の豊かな自然に包まれた本当に美しい町です。(天気があまり良くなく、残念ながらド イツの最高峰ツーク・シュピッツェは見えませんでしたが)ガルミッシュの街並み、風景は次の日にミュンヘンフィルの演奏で聴いた「四つの最後の歌」のもつ 雰囲気、空気そのもので非常に感動的でした。リヒャルト・シュトラウスの曲にはしばしば鳥の鳴き声が出てきます。ホルンの使い方ももアルプスホルンを思わ せる響きがあります。この壮大な自然が彼に作曲のインスピレーションを与えていたことがよく分かる風景でした。クラシックではベートーヴェン以降特に、ほ とんどの作曲家がインスピレーションを得るために「自然」を必要としていたように思います。

ミュンヘンでは、彼の生家のあった場所と、ミュ ンヘンフィル(ティーレマン氏指揮)のコンサートに行きました。ミュンヘンといえば、白ソーセージとビール。たんまり食べて飲んできました。私はミュンヘ ンが好きで、3度目の訪問でしたが、訪れるたびに必ず足が向いてしまう「ホーフ・ブロイハウス」にも行ってきました。(しかも二日連続。)

8年前に来た時は巨大1リットルジョッキのビールを飲んでも、そんなには酔わなかったと記憶しているのですが、今回は年のせいでしょうか、大変なことになり ました。酔って車椅子で石畳の上は絶対よくありません。頭が縦にガクンガクン揺れて、どんどん平衡感覚を失い、ホテルに着いた時は前後不覚でした。人生初 の本格的な酔っ払い体験でした。付き添いがいなければ、どうなっていたことやら。

ウィーンでの生活も残り少なくなってきました。来た当初は ウィーンの人たちのそっけない雰囲気や(レストランの店員とかレジとか挨拶や愛想がない人が信じられないくらい多い)建物の古さ(段差ばかり)、路上のごみや犬の●、何より食事が口に合わないことに閉口していたのですが、最近は交通網のバリアフリーの充実度、自然が豊かなこと、人口密度が東京よりもずっと 低いこと、町が小さくて効率的で、そして何より毎日演奏されるコンサートやオペラの水準の圧倒的な高さに、ヨーロッパのどの都市よりも魅力を感じていま す。1年近くここに住んでいて、やり残したこと、勉強すべきだったこと、体験すべきだったことがまだまだあるような気がして、最近特に気が焦ってきています。

とはいってもユーロはついに165円を突破しました。全ての値段が日本の1.5倍以上という感覚でとてつもなく厳しいので、もうそろそろちょうど潮時(限界?)なのかとも思っています。7月・8月、もう一段階のレベルアップを目指してラストスパート、頑張ろうと思います。

2007年5月のご挨拶

ライプツィヒのゲヴァントハウス前の写真
5月も半ば過ぎてしまいました。最近のウィーンは日差しが強く、30度前後という本当に暑い日が続いています。日本であれば、公園で休む時人は日陰 に入るのですが、ヨーロッパは冬が長く厳しいからでしょうか、陽が当たるベンチや噴水で日光浴を楽しむ人を多く見かけます。美味しいジェラート屋には人だ かり(あまり規則正しく並ばないため)ができています。昨日はウィーンフィルシェーンブルンコンサートに行ってきました。宮殿の庭を埋め尽くさんばかりの 大勢の人にもまれながら、ゲルギエフ氏のロシア音楽を楽しみ(!?)ました。(野外コンサートなのでマイクを通すのが残念ですが。)春の祭典など壮絶な演 奏でしたが、もう少し余裕のある場所で聴きたかったです。

今月もウィーンは世界一流のマエストロが結集しています。アーノンクール、ガッ ティ、ブーレーズ、ティルソン・トーマス、ノリントン、ゲルギエフ、マゼール、(敬称略)まだまだいらっしゃいます。全ての方のコンサートやリハーサルを 聴き、何人かの方と個人的にご挨拶をさせていただいたりもしました。全ての出会いが貴重で、それぞれに大変印象深いものでした。中でも小澤征爾さんが ウィーンフィルを指揮されたマーラーの交響曲第2番は印象的でした。

リハーサルから素晴らしい集中力で音楽作りをされていました。日本人の 指揮者の方をムジークフェライン大ホールで見たのは初めてだったからでしょうか、小澤さんの体格がいつもより小柄に見えたのですが、その分、どの指揮者よ りも全身で音楽を表現し、無駄がなく、すべてのザッツ(合図)がタイミングを全くはずすことなく一つ一つ魂を込めて出しておられていることに改めて驚かさ れました。今ウィーンフィルを振っている指揮者の中でここまで綿密に楽譜を読み込んで、音を身体に染み込ませてくる指揮者は小澤さんをおいていないように 思いました。リハーサル終了後、お話しする機会があったので、私が改めて感動したことをお伝えすると、「それが商売ですから」とこともなげにおっしゃいま した。高校時代にサイトウキネンオーケストラの演奏をLDで見て感動し、指揮の道へ進む勇気を下さいました。以来ずっと世界の一線でずっと憧れであり目標 であり、今でも勇気を下さる小澤さんに心から感謝と尊敬の気持ちを捧げたいと思います。来月のウィーンフィルの定期が楽しみです。

最後に先月27日に亡くなられたチェリストであり指揮者であったロストロポービッチ氏について一言述べようと思います。小澤さんとのドボコンの演奏を映像で見た時 が、私のロストロポービッチ氏の音楽との出会いでした。無論完璧なテクニックの上に、独特の暖かさとすすり泣くような悲しさが混じった深みのある素晴らし い演奏でした。上野文化会館でチェロのコンサートをされた時、楽屋口で初めてお会いできた時も、私が音楽の勉強をしている旨を申し上げると、笑顔で祝福し て下さり、私の肩を抱き寄せて記念写真に応じてくださいました。お元気であれば、来月、ウィーンフィルで戦争レクイエムを振られる予定でした。そこでの再 会を心待ちにしておりましただけに、本当に残念です。温かい笑顔が思い起こされます。ご冥福をお祈りします。

グランパルティータ公開練習

日時2007年4月11日(水)14時30分開始
会場ウィーン国立音楽大学 Anton von Webernplatz C0113
演奏ウィーン国立音大 管楽器奏者のメンバーの皆さん
指揮宮野谷 義傑
演奏曲目モーツァルト セレナード「グラン・パルティータ」

私がウィーン国立音大で聴講で自分が振る機会がないことにふつふつしている私を見かねて、後閑さんというクラリネット奏者の方が機会を設定してくださいました。

グ ランパルティータはバセットホルンが必要で、かつ管楽アンサンブル(+コントラバス)で1時間弱ということで、なかなか演奏する機会のない曲ですが、シン フォニーに匹敵するほどの内容があり、モーツアルトらしい繊細な旋律美に溢れた名曲です。ウィーン国立音大の学生の皆さんはさすがに音色が素晴らしく、 オーボエの1stにはトーンキュンストラー管弦楽団元首席奏者のHertel さんがご協力下さり、2時間半ほどの時間でしたが、久しぶりに音楽を表現すること、コミュニケーションをとることの楽しさ、難しさを体感することができま した。反省点も多々あり、修正して今後に生かしてまいりたいと思います。

2007年4月のご挨拶

ローマ歌劇場
こんにちは。ここ数日、ウィーンでは色とりどりの花が咲き始め、野鳥が一斉に囀り始めて本格的な春の訪れを感じさせます。今年の冬は暖冬だったので、 雪が苦手(積もると走行不可能)かつ寒がりの私には本当に助かったのですが、寒い地域ならではの「春の喜び」は体験できなかったように思います。ベートー ヴェンの「苦難を乗り越え歓喜へ」という感覚は、無論彼の人生によることが大きいのは言うまでもありませんが、やはり気候によるところも大きいと思いま す。もし、ベートーヴェンがイタリア人で、もしくはイタリアに住んでいたら・・あの曲は書けないに違いありません。

かく言う私は、大学の休みを利用して1週間ほど、イタリアに旅行に行ってきました。残念ながらオペラのシーズンではなかったのですが、バロックの巨匠モンテヴェルディとヴィヴァ ルディ・多くのオペラ作曲家(ヴェルディ、プッチーニ、ドニゼッティ・ベッリーニなど)の活躍したイタリア、ドイツ・オーストリアの作曲家の憧れの地で あったイタリアを体感しにいくことが主な目的でした。ヴェネツィア、ミラノ、ローマ、ナポリ、シチリア島、移動費も宿泊費もぎりぎりまで抑えながらの旅で したが、南北イタリアの人情・風土の違い、それぞれの魅力を肌で感じることができました。イタリア3大歌劇場にもいきました。

しかし、私は ここで敢えて苦言を表明せざるを得ません。パリの時も感じましたが今回はそれ以上に、車椅子にはあまりに厳しい環境でした。街が古い、石畳であることは無 論承知しています。でもできるところから少しずつ改善して、積み重ねていかねばならないと思います。歩道と車道の間の段差が高い、歩道が狭い上に路上駐車 があまりにも無造作でまともに通れない、石畳はぼろぼろになっても張り替えないためがたがた、地下鉄には一つもエレベータがない。首都ローマにバリアフ リーのホテルがほとんど皆無(インフォメーションで聞いても車椅子を受け入れられるホテルは「超高級ホテル以外はない」と答えられた。)。少々段差がある 駅やホテルも、日本であればスタッフの方が助けてくださるが、こちらではそのサービスもない。こちらから頼んでも断られる。(周囲の心ある方が手伝ってく ださることが多いのは申し訳なくもあり、また心からありがたいことだと思う)車椅子トイレも満足に車椅子が入れるものは少ない。手すりはないものがほとん ど。鍵が壊れていたりものすごく不潔であったり、使用する人への気配りが感じられない。世界中でバリアフリーが叫ばれて久しいにもかかわらず、改善しよう とする姿勢が全くないのは残念至極です。日本と同様に「少子高齢化」に悩んでいるとはとても信じられない。障害者の浮浪者が多いのも悲しい現実でした。

2月に日本に帰った時、雨の中どうしてもバスに乗らなくてはならない用事があり、車椅子対応のマークはあるけれどノンステップではない通常のバスに、乗客の 方に車椅子を持ち上げてもらって乗せていただきました。その時、そのバスに乗り合わせた乗客の一人が「車椅子が乗れる設備のないバスに乗るのは人の迷惑を 考えない行為だ。身の程をわきまえて出歩くことは控えなさい。」と私に向かっておっしゃる方がいました。確かに皆さんに手伝っていただくことは、本当にご 迷惑をかけることで私も申し訳ないと思っています。障害者であることに甘えてはいけないと思います。しかし、無論、私は一人間として、出歩くことも、雨に 濡れないためにバスに乗ることも権利として持っています。私は偶然身体に障害を得ましたが、これは誰しも例外なくそしていつでも起こりうることです。明日 我が身が、もしくは自分の愛する人が同じことを言われてどう思うでしょうか。

バリアフリーというのは、まさしくその「自分と置き換える」と いう精神によってこそなりうるものだと思います。私は車椅子ですが、目の見えない人、耳の聞こえない人、心に障害のある人、その人たちの気持ち、目線は正 確には分かりません。でも、想像することこそが大切であり、他人事ではなく明日は我が身かもしれないという気持ちが大切なのだと強く思います。

私は人の心や物的なバリアに遭遇すると付添いや周囲の人に面倒をかけ情けない思いにとらわれますが、、自分の夢のためにも、同じ苦しみを持つ人のためにも最期まで決して負けまいと思います。

日本の人はよく「日本のバリアフリーはなってない」とおっしゃいますが、日本のバリアフリーがヨーロッパより劣っているということは決してありません!身障 者トイレの中の設備の配置まで真剣に考える日本人の気配りは本当にすごいと思います。(ただ唯一バスは低床バスの割合はヨーロッパの都市の方が日本の都市 より多いと思います)日本は、今の状況に自信を持って、更に世界の指針として、高齢化に悩む地方都市までバリアフリーを進めてもらいたいと思います。(ちなみに、以前も申し上げましたが、ウィーンの交通網のバリアフリーは相当進んできています。念のため。)

2007年3月のご挨拶

こんにちは。2月は一ヶ月ほど日本に帰っていたのですが、久しぶりの日本を満喫する余裕もなく、本当にあっと言う間に時間が過ぎていってしまいました。
2月のご報告はコラムの中に掲載致します。

今日11日、私は32歳の誕生日を迎えました。ウィーンでの誕生日は実は2回目です。大学時代の1998年、友人達と卒業旅行の最終日、憧れのウィーンで 23歳の誕生日を迎え、ザッハートルテで祝ってもらったことがあります。約10年の時を隔てて、再びウィーンで節目を迎えることができようとは、その時夢にも思っていませんでした。

アパートから歩いてすぐのところに、「シューベルト最期の家」があります。シューベルトはベートーヴェンの葬儀 に参列した後で、仲間と酒場に行き、ベートーヴェンへの畏敬の念を込めて「この中で(先生のあとを追って)最も早く死ぬ奴に乾杯!」と不吉な言葉をを言っ たそうです。その翌年、彼は腸チフスにかかり、2週間の闘病の末、31歳と10ヶ月の若さで亡くなっています。今、自分が彼が死を迎えた年齢に達してみ て、あらためて、その短い人生で彼が達した純粋で温厚な精神世界に本当に頭が下がる思いがします。(私はいつもアヴェ・マリアを聴くと、前奏部分から目頭 が熱くなります。)楽聖と自分の人生を比べることはおこがましい事は承知の上です。しかし、私は私なりに、自分に与えられた限られた時間の範囲内で、なん とか自分に課せられた使命を果たしたいという気持ちを強く持つようになりました。

「使命」という言葉は時に曖昧な、感覚的な意味で大げさに 使われがちです。しかし私は、「使命」とは、個々の人間が、それぞれの生活環境や学びの中で得た信念を行動に表し、表現し、人に伝えることだと思います。 生きる苦しみや悲しみ、そして喜びを共有することこそ、個々の人間が生きる意味ではないでしょうか。私は全ての人が「使命」をもっていると思います。親 子、夫婦、友人、師弟、必ず誰かが誰かのメッセージを必要としているし、その意味において、無駄な人生、無駄な経験はないものと私は信じています。

こ こウィーンには、シューベルトだけでなく、多くの楽聖が実際に生活をしていた街です。昨日はJ.シュトラウスのゆかりの地を訪ねる機会があったのですが、 彼の喜怒哀楽を実際にその場所で知ると、本当に息使いすら聞こえてくるようです。音楽に表現されたメッセージがより生き生きと聴こえてくるように感じま す。ウィーンに来て勉強する本当の意味はここにあったのだと思いました。
今月の挨拶はひどく堅苦しくなってしまいました。年を一つとったということでこんなに力が入ってしまう自分がなんだか可笑しく感じます。32歳の一年の抱負ということでお許しください。

ウィーンはここ数日すがすがしい日が続いています。今月25日にはサマータイムが始まり、午前2時が3時になる、つまり1時間普段より早起きしなくてはなりません。なんだか、損した気分です。。

音楽のパレット2nd.コンサート ~今年もとことんアンサンブル~

日時2007年2月8日(木)18時45分開演
場所広島市東区民文化センターホール
演奏音楽のパレットアンサンブル
ヴァイオリン独奏 田野倉 雅秋 (広島交響楽団コンサートマスター)
ソプラノ独唱塩井 京子
指揮宮野谷 義傑
演奏曲目
  1. エルガー 愛の挨拶
  2. シベリウス ロマンス
  3. ヘンデル グローリア
  4. ヴィヴァルディ 「四季」より春
  5. ホルスト セントポール組曲
チケット一般 前売 2,500円 当日 2,800円
中学生以下 前売 1,500円 当日 1,800円

前回2006年7月15日の第一回のコンサートから半年、今回は弦楽アンサンブルと小規模ながら、ヴァイオリンソロに田野倉さんを迎え、非常に充実したメン バーで演奏会に臨みました。私がウィーンに滞在していたため、私の至らないところも多々あり、準備段階からさまざまな困難を抱え、主催の鈴光さんも大変な ご苦労をされて本番の日を迎えることとなりました。

私にとって久しぶりの実践の場で少々緊張しましたが、3日間のリハーサル、とても良い集中力でした。

前半は今年記念イヤーを迎える二人の作曲家、後半は音楽教師をしていた作曲家というテーマもあり、とても面白く仕上がったと思います。演奏者の皆さん、スタッフの皆様、素晴らしい機会を頂きありがとうございました。

2007年2月のご挨拶

久しぶりに日本に帰って日本の生活を満喫しすぎたのでしょうか、2月のご報告が相当遅れてしまいま した。毎月読んで下さっている皆様、申し訳ありません。(最近流行りのブログ、毎日更新しているものを見ると、心から尊敬してしまいます。月1回ですら滞る私にはとても無理です)

2月は広島で「音楽のパレット 2nd.コンサート」がありました。このコンサートはある主婦の方を中心とした市民団体の方がコンサートの企画・運営をしてくださっています。今回は準備 段階でずっと海外にいたため、連絡等がタイムリーにできず大変なお手数とご迷惑をおかけしてしまいました。ここに改めてお詫びと感謝を申し上げます。あり がとうございました。

演奏者の皆様もとても熱心にリハーサルにご参加下さり、短いながら充実したリハーサルでした。久しぶりの実地で不安も あったのですが、温かく盛り上げてくださいました。ヴァイオリンソロ  田野倉雅秋さん(広島交響楽団コンサートマスター)ソプラノの塩井京子さん、コンサートミストレスの高橋和歌さんをはじめたくさんの素晴らしい音楽家の皆 さんと音楽ができてとても楽しかったです。
今まで海外旅行へ入っても、これほど日本を空けたことはなかったので、日本食や日本が相当恋しい だろうと思っていたのですが、それはそうでもなかったようです。やはり同伴者がウィーンでなんとか日本食を作ってくれてるおかげだと思います。とはいえ、 久しぶりの実家での食事はまたとても良いものでした。ウィーンでも日本でも本当に自分は恵まれた環境にあると実感しました。

2007年1月のご挨拶

楽友協会の写真
明けましておめでとうございます。

生まれて初めてヨーロッパで正月を過ごしました。家の中にいても爆竹と花火の音がひっきりなしに鳴っていて、まる で戦場のようです。外に出ると、道端では歩くすぐ脇で突然爆竹が鳴ったり、路上で打ち上げ花火をあげたり、大騒ぎです。かなり危険です。広場では年末の市 が立ち、たくさんの豚のぬいぐるみを売っていました。「え!?こっちでも猪年?」と一瞬思ったのですが、豚は新年のラッキーアイテムで、贈り物などにする そうです。(他にもてんとう虫、四葉のクローバーなど)

年越しはお世話になっているウィーンフィルのチェロ奏者FさんとピアニストのUさん ご夫妻のご自宅にお招き頂き、テラスから花火を見せていただきました。見渡せる限りあちこちから無数にあがる冬の花火はとても壮観でした。ラッキーアイテ ムの「豚」の鼻を使ったお料理をいただきました。スライスしてあり、形が少々リアルでしたが、美味しくいただきました。

2006年年末はニューイヤーコンサートのリハーサルを見学させていただくことができました。毎年テレビで見ていたコンサートのリハを見ることができる のは感無量でした。指揮はズービン・メータ氏。私はリハーサルを見るまで、彼の棒さばきはあまりに切れがよく、力強いので、ポルカやギャロップには向いて いても、甘くやわらかいワルツの指揮にはあまり適さないのではないかと思っていました。しかし、リハーサルを見学して、考えは変わりました。やはり世界第 1級の指揮者、多彩な表情と絶妙のタイミングでオケから遊び心と陶酔の音色を引き出していきました。今回は新曲も多かったせいでしょうか、そうとう念入り に何度も繰り返しリハーサルをしていました。ちなみに来年のニューイヤーコンサートの指揮はプレートル氏のようです。

やはり今年のヨーロッ パの冬は暖冬のようで、現時点では東京の真冬とそう変わらないような感覚です。雪も1・2度降っただけでほとんど積もりませんでした。積雪は車椅子には大 敵なので本当に助かります。ただ1日だけマイナス5度になった日がありましたが、この日は寒かったです。車椅子をこぐ手のひらがすぐに冷えて痛くなる、だ んだん感覚がなくなる・・。例年なら毎日こんな感じだと聞かされました。暖冬のまま今年の冬は終わって欲しいものです。

2月8日に広島でコ ンサートがあるため、日本に帰ります。パレットアンサンブルは広島で活躍する演奏家の皆さんが集まって組織された団体です。今回は広島交響楽団のコンサー トマスター、田野倉雅秋さんをソリストにお迎えしてヴィヴァルディの「春」を演奏するなど非常に聴き所満載です。広島の皆様、そして西日本の皆様、ぜひ聞 きにいらしてください!

今年は一層の飛躍の年にしたいと考えています。どうぞ、宜しくお願いいたします。