2008年1月のご挨拶
あけましておめでとうございます。今年の正月は、日本でのんびりと、といきたいところですが、諸事情により勉強に追われる毎日を過ご しています。今年、2008年は、1年間ウィーンで経験して広がった自分の感覚や視野を活かすために、そして自分の中で明確になった足らない部分を補うべ く、あせらず、地道に自分の土台固めの年としたいと考えています。
今年の3月で私は33歳になります。33歳といえば、指揮者としてはまだ まだ若手、いや、かなり若手と言われます。(40代でも50代でも若手と言われる業界ですが)しかし、立派に会社に勤め、自分の力で自分を支え、自分の居 場所を確保している同年代の友人に会うたび、焦りとも、自己嫌悪とも言えるような感情にとらわれることがあります。だからといって友達に会いたくないわけ ではありません、むしろそれがいい刺激になると思っています。しかし、自分の選んだ道、そして自分は全くエリートではないことを認識している以上、勇気を もって今の等身大の自分を見つめ、驕らず、卑屈にならず、焦らず、一歩ずつ地道に、謙虚に音楽に指揮に取り組んでいきたいと思います。
これは、宣言ではなく、正直、自分に言い聞かせていることです。10代の頃、私は自分の身体を思ったとき、自分はそんなに長生きできると考えていませんでし た。人は誰しも人生は一度きりしかない、そしていつ死ぬか分からない、そう思って、「やりたいことはやる」という思想を持つに至りました。この考えは前向 きな意味において間違いだとは思いません。周囲の温かい支援やお心があって、指揮や海外生活などいろいろなことに挑戦してこれたことは、本当にありがた く、幸せなことだと思っています。
しかしその気持ちだけでは本当の意味において「やりたい」ことは出来ないことは明らかです。地道な努力や 長期的な展望も「やりたいことをやる」には必要です。指揮、音楽表現という奥の深いことに携わる以上、焦らず一歩ずつ、決してあきらめず、勇気を持って貪 欲に挑戦し続けようと思います。
今年もどうぞ、宜しくお願いいたします。