2013年10月のご挨拶


 こんにちは。10月も早半ばを過ぎての更新になってしまいました。先日、東京日野市の東光寺小学校で車椅子体験教室のお手伝いにうかがった際、去年植樹したクヌギの木を見に行って来ました。私の年賀状を受け取ってくださった方はご存知かと思いますが、植えたときは本当に枯れ枝のようにしか見えなかった小さなクヌギの木に、立派に!青い葉がついていました。陽の光をたっぷり浴びながら伸びやかに生きている小さなクヌギの木。生命力のたくましさを実感しました。

 先月は、自分にとってとても思い入れのあるベートーヴェンの交響曲第5番「運命」の レコーディングがありました。リハーサルが前2日の数時間のみという厳しい制限下ではありましたが、オーケストラトウキョウの皆さんの素晴らしい技術と集中力が結集して、自分にとって記念碑ともいえる録音になりました。まだまだ、人生も指揮者としても道半ばではありますが、それでも「今」を凝縮したような演奏になったかと思います。今まで事あるごとに、自分を鼓舞し続けてくれたベートーヴェンの音楽。彼がいかに精神を研ぎ澄まして、考えに考え抜いて作曲したか改めて悠久の時を超えて感じることが出来ました。録音が最終的に仕上がったら、皆様ぜひお聴きください。
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  悠久の時を越えるべく、最後に写真をもう一枚。

 住んでいる大阪市都島区の住宅街のど真ん中に立つ信じ難いような巨木。大阪のガイドブックにもほとんど載ってませんが、渡辺綱の「駒繋ぎの樟」という史跡の木です。長徳年間(995~998)大江山の鬼退治で有名な源頼光が、この樟を植えたといわれています。何も知らずにこの道に差し掛かったときのこの樹のなんというオーラ、存在感!!(写真では伝わりにくいかなぁ・・)昭和の初め、大阪府の天然記念物の第一号に指定されていて、幹回り13m、高さ20mの大木であったそうです。残念ながら大阪大空襲で焼かれ今は立ち枯れになっているのですが、死んでいても弁慶の立ち往生のような威厳、風格。散歩で偶然発見し、圧倒されてしまいました。悠久の歴史を見守ってきた風格溢れる大木も本をただせば、私が植えたような小さな苗木だったかもしれません。焦らず、じっくりと、穏やかに、そして力強く、生きていきたいものです。