師走の忙しさというのは20代の頃まであまり実感がなかったのですが(会社勤めしてる時期さえ・・)、このところ、歳を重ねるにつれ感じるようになってきました。日本人指揮者にとって12月の忙しさといえば「第九」ですが、まだまだ駆け出しの自分は第九ではなく、例年クリスマスコンサートを多くの方や団体のボランティアでのご協力を得て、障害者・障害児の施設等でさせて頂いています。
私は常々、「音楽」はもっと、必要としている人に届きやすくてもいいのではないかと思っています。音楽は、ストレスに疲れた心を癒し、人を笑顔にし、身体をも元気にしうるものだと思っています。誰もがストレスを抱えてるには違いないのですが、身体や心に障害を負って自由を奪われ、他に発散する手段のない方々にこそ、「音楽」は必要であると思います。
一方で、クラシック音楽は、「静かに聴く音楽」であるゆえに、障害が重く、どうしても声や音を発してしまう障害の方にとっては、生演奏は遠い存在になりがちです。最近、12月9日(障害者の日)など、どんな障害の方でも聴いて頂けるような素晴らしいコンサートが企画されるようになってきました。それでも、生演奏に触れる機会は健常者とは比べようもありません。
12月8日に多摩障害者スポーツセンターで20分強というごくわずかの時間でありましたが、利用者の皆さんと音楽を楽しむことの出来る時間をいただきました。弦楽の調べと一緒にクリスマスソングを歌う、リズムに合わせて鈴を鳴らす、身体を思いっきり動かす・・。終演後に多くの方から、いろんな世代の方から楽しかった、気持ちよかったと反響をいただきました。
今月はもう一回、クリスマスコンサートの機会をいただいています。精一杯頑張ろうと思います。
12月はもう一つ、オーケストラトウキョウとベートーヴェンの交響曲第2番とホルストのセントポール組曲の録音がありました。特に交響曲第2番はベートーヴェンが耳の疾患にけっして屈しないという決意の漲った素晴らしい音楽で、自分にとって「運命」と同じくらい大切な音楽です。
今回も、オケの皆さんが、大変素晴らしい技術と集中力で支えてくださりました。仕上がりが楽しみです。
2013年、大阪への引越など、個人的には波乱万丈の一年でありました。と同時に、ベートーヴェンの交響曲の録音、そして多くのオーケストラの方々との出会いがあり、刺激と充実感のある一年にもなりました。偏に、支えてくださる皆様のお陰です。心より感謝を申し上げます。
新年を大阪で迎えるのは初めての経験です。2014年が、自分にとっても、そしてこれを読んでくださった皆様にとっても素晴らしい一年になりますように!